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開業医の事業承継は月例ミーティングで上手くいく!

開業医の事業承継は月例ミーティングで上手くいく!

開業医の事業承継は、「そのうち考えよう」では手遅れになるケースが少なくありません。クリニック経営には日々の診療やスタッフマネジメントなど、目の前の業務に追われがちですが、事業承継の準備は経営の健全な継続に不可欠です。

スムーズな事業承継のために、現経営者、後継者、事務長、さらには外部の事業承継コンサルタントも交えた「事業承継ミーティング」を毎月行うことが、開業医のクリニック経営を次世代に引き継ぐ大きな力になります。本記事では、開業医の事業承継で月例ミーティングがなぜ有効なのか、具体的な方法とその効果について詳しく解説します。

1. 開業医の事業承継は「計画」が鍵

開業医の事業承継は「計画」が鍵

1-1. なぜ開業医の事業承継は計画的に進めるべきか

開業医の事業承継がうまくいかない一番の原因は、「先送り」です。医療現場では日々の診療が優先され、事業承継は後回しにされがち。しかし、突然の病気や事故などで承継が間に合わず、スタッフや患者の不安を招く例も少なくありません。

また、承継には時間がかかります。経営権の引き継ぎだけでなく、診療スタイルの違い、患者層の維持、スタッフの意識改革など、数年単位の準備が必要です。だからこそ、計画的に事業承継を進めることが求められます。

1-2. 「いつから始めるか」ではなく「今から始める」が重要

開業医の事業承継は、「具体的な後継者が決まってから」始めるのでは遅すぎます。たとえ後継者候補がまだ明確でない段階でも、経営者が元気なうちから経営状況を整理し、将来の方向性を話し合う場を設けることが重要です。

その第一歩が「事業承継ミーティング」です。継続的なミーティングによって、承継準備が計画的に進み、クリニックの将来に備えることができます。後継者が明確になった後は、ミーティングに早期から参加してもらうことで、実践的な育成の場としても大きな効果を発揮します。

2. 開業医の事業承継ミーティングの基本設計

開業医の事業承継ミーティングの基本設計

2-1. 毎月のミーティングが事業承継の質を変える

事業承継は単発の面談で完結するものではありません。むしろ、継続的な話し合いこそが効果を発揮します。月1回、経営幹部と後継者が顔を合わせ、現在の経営状況や承継の進捗を確認することで、少しずつでも着実に前に進みます。

例えば、月例ミーティングでは次のような話題が中心になります。

・月次の経営数字の確認
・診療方針やサービス改善のアイデア出し
・スタッフマネジメントの課題共有
・後継者の現場対応についてのフィードバック
・税務・法務・経営の承継準備状況
・後継者と外部関係者との顔つなぎ(顧問税理士・金融機関・地域医師会・連携医療機関・訪問診療  
 を実施している介護施設など)

特に、金融機関や顧問税理士、医師会、訪問診療先といった外部関係者との関係は、開業医の信頼や経営基盤と深く結びついています。これらの関係性を円滑に承継するためにも、後継者を早期に引き合わせておくことは、事業承継において非常に実務的かつ重要なステップです。

これらを定期的に話し合い、実行していくことで、課題が先送りにならず、承継プロセスが着実に進みます。

2-2. 開業医の事業承継ミーティングの参加メンバー

ミーティングの参加メンバーとして望ましいのは以下の通りです。

・現経営者(院長)
・後継者(医師または歯科医師)
・事務長(経営実務に関与する責任者)
・医院経営に深く関与している親族(配偶者・親・兄弟姉妹など)
・コンサルタント(外部の事業承継支援専門家)

クリニックの規模や組織体制に応じて、参加者は柔軟に調整可能ですが、経営判断に影響を与える立場の親族は原則として含めるべきです。特に院長の配偶者が経理や人事、現場運営に関わっている場合、後継者との関係調整や承継実務の引き継ぎにおいて極めて重要な存在となります。

一方、一般職員(スタッフ)はミーティングには参加させないのが基本です。
事業承継ミーティングでは、経営判断・財務・人事・経営方針など、センシティブかつ未確定な情報を扱う場面が多く、スタッフの参加によって議論が制限されてしまう恐れがあります。内容に応じて適切なタイミングで段階的に情報を共有することが望ましく、「議論の場」と「伝える場」を分けて運用することが肝要です。

重要なのは、経営の視点・現場の視点・後継者育成の視点・専門的な第三者視点の4つが揃うことです。これにより、偏った話し合いに終始せず、現実的かつ実効性のある議論が可能になります。

また、ミーティングの場は単なる情報共有だけでなく、「意思決定の訓練」としても大いに活用できます。特に後継者が早期から経営課題に触れ、実際に考え・判断するプロセスを重ねることで、院長交代後の運営の安定につながります。

3. 開業医が事業承継ミーティングを続ける効果

開業医が事業承継ミーティングを続ける効果

3-1. 後継者育成が自然に進む

後継者育成は単なるOJTでは不十分です。経営の意思決定に早くから関与することで、経営マインドが育ちます。月例ミーティングでは、診療だけでなく経営面の知識・スキルも習得できます。

例えば、最初は数字の読み方がわからなかった後継者が、毎月のミーティングを重ねることで、「今期の利益率が低い理由」や「診療単価の推移」・「患者数と売上の関係性」などの基本的な経営指標を理解し、徐々に経営感覚を養うことができます。

3-2. 組織の安定とスタッフの不安解消

事業承継が見えないと、スタッフの不安は増します。「院長が急に辞めたらどうなるのか」、「方針が変わるのでは」といった声も聞かれます。定例の事業承継ミーティングを通じて、経営幹部が常に情報共有を行い、後継者も現場での顔出しが増えると、スタッフも安心し、組織の安定につながります。

4. 開業医の事業承継を加速させるコンサルタント活用法

開業医の事業承継を加速させるコンサルタント活用法

4-1. 事業承継コンサルタントが加わることで話し合いが具体化

事業承継ミーティングに第三者である事業承継コンサルタントが入ることで、議論が形式的なものにならず、具体的に進みます。例えば、経営者と後継者だけだと感情論になりがちな場面も、コンサルタントがファシリテートすることで冷静な議論ができます。

また、議題の事前設定や課題の整理といった実務的な段取りも、コンサルタントが支援します。必ずしも詳細な議事録を残す必要はありませんが、要点の共有や振り返りができる形で「話しっぱなしにしない工夫」を取り入れることで、ミーティングが形骸化せず、確実に次のアクションにつながります。

4-2. 税務・法務・経営の課題も網羅的にカバー

事業承継には税務・法務・経営と複数の課題が絡みます。例えば、出資持分の承継、現経営者の退職金支給、相続税対策、事業用不動産の取り扱いなど、専門知識が必要なテーマは多岐にわたります。

コンサルタントはそれらを俯瞰的に捉え、適切な専門家(税理士、弁護士、生命保険・不動産の実務家など)と連携しながら、事業承継ミーティングの場で適宜アドバイスを行います。
開業医が一人で悩む必要はありません。

5. まとめ|事業承継ミーティングで開業医の未来が見える

事業承継ミーティングで開業医の未来が見える
開業医の事業承継は、一朝一夕には進みません。しかし、毎月の「事業承継ミーティング」を習慣化することで、現経営者と後継者がクリニックの未来を共有し、不安や課題をひとつずつ解消していくことができます。

この定期的な対話の積み重ねが、事業承継を「特別なイベント」ではなく、「自然な流れ」として進める力になります。

✔ 後継者育成がスムーズになる
✔ スタッフの不安が減る
✔ 経営課題が可視化される
✔ コンサルタントのサポートで具体化が進む

開業医としての未来を守るために、今こそ行動を始めるときです。
事業承継を「経営の引継ぎ」ではなく、「次世代への発展の起点」として捉え、毎月の小さな積み重ねを、理想の承継に向けた確かな一歩にしていきましょう。

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